ファド男祭り'08開催にあたって (当イベントチラシより)

何故か日本ではリスボンファドは女性が歌うものとの誤解が根強く存在する。
アマリア・ロドリゲスが偉大すぎたのも理由の一つだろう。旧独裁政権が文化資源として
ポルトガルの歴史的偉大さを誇示するために「大航海時代の船乗りの帰りを待つ女達の歌」
との由来をでっち上げ、今もそれをそのまま語る人々がいるのも理由の一つだろう。
しかし、それでは伝説の男性ファディスタたちが、草葉の陰で泣いている。
何しろ日本は非西洋国で最もファドが聴かれている国である。
そして、ポルトガル以外では自国のプレイヤーが多数存在する、稀有な国なのである。

ここに7人の男が集まった。
思いはそれぞれである。出身地もみな違い、ファドへの愛もまた、それぞれである。
「選ばれた」などという大げさなものではない。声をかければこの顔が揃った。これもファドのあるべき姿だ。
とはいえ、ポルトガルギター2台にギターにベースといった、古典ファドのフル編成である。

男だけでのファドに違和感がないわけではない。本国と同じく男女同率が自然であるに違いない。
しかし、その「自然」へ至るためにも問題提起が必要なのが、日本のファドの2008年での現在地である。
「ファド男祭り」の開催は、日本でファドが文化たるための必然なのである。

2008年5月 月本一史

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